ダンデライオン
「はい、荷物ね。

麻子ちゃんのお父さんに頼んで、私がお見舞いのついでに届けることにしたの」

「わーっ、ありがとう。

何だか悪いなあ」

そう言った私に、
「いいのいいの、私も麻子ちゃんが心配だったから」

さくらちゃんが笑いながら答えた。

私はベッドから起きあがると、ソファーの方に歩み寄った。

「えっ…!?

ちょっと麻子ちゃん、歩いても大丈夫なの?」

歩いている私にさくらちゃんが驚いたと言うように言った。

「今日から動き回れるし、昼からご飯を食べてもいいって」

ボストンバックに手を伸ばそうとした私に、
「ちょっと待って。

事情はわかったけど、点滴をしている手で荷物は出せないでしょ?

今必要なものがあるなら言って、私が出すから」

さくらちゃんが止めると、ボストンバックのチャックを開けた。
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