風のそばで
「つきあって、とかそう言うんじゃないんだけど。」

人の多いファーストフード店で、彼はこう切り出した。

「小学校の頃、好きだったからさ。」

え、私もだよ。

でも言わない。

「そんな顔しないでさ。笑って聞いてくれていいよ。」

彼は困った顔をしている。

きっと私はもっと困った顔をしているんだろう。

「会えてすごく嬉しかったんだけど、どうしようかな、うん、」

私も嬉しかったけど

でも、この先の言葉を聞くのが怖かった


「また好きになってしまったかもしれない。」

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