夏のわすれもの
あきらめるしか方法がなかった。

彼女をあきらめるしか他がなかった。

陣内は社長で彼女はお嬢様だ、家柄も身分も全てに置いてふさわしい2人である。

そこに俺が入る隙間は全くない。

2人の間に隙間風が吹かないほどだ。

陣内は、見合い相手である彼女を気に入るだろうか?

年齢は離れ過ぎているが、それも愛情でカバーできると思えば可能なことだろう。

あの日出会った彼女は、まさかの大企業のお嬢様だった。

略奪でもすれば簡単なものの、そんなことが俺にできる訳がない。

俺は、彼女の写真を手にこの場所から退室することしかできなかった。
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