嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。

「触りたいの?」

綺麗な坊主頭を向けられたけど、私の狙いは毛根を消滅させるために皮を剥ぎたいだけですから。

「あ――、あんたムカつくけど、さっきの幹太の発言、気にしないでね。あいつ、口下手というか、言葉足らずと言うか、いつも大事な部分を抜くと言うか、主語がないというか」
「んん? 幹太さんの悪口?」
きょとんとするオカマに、私もどう伝えて良いか分からずに、しょうがなくはっきりと言う。
「さっきのアンタの過去を抉った言葉よ。悪気はないから気にすんなってこと。ちょっとは察してよ」
「……あ、あ――、ね。んふ。気にしてないわよ」

オネェみたいに手招きするように手を振ると、気持ち悪く低い声で笑った。

「二人とも優しいわよね。私、貴方も好きだけど、彼にも感謝しているのよ。だから大丈夫」
「ええー。やっぱそんな喋り方だからアンタってホモなの?」
「ちがうわよう。酷いわね―」
ぷんぷん怒るオカマが騒ぐ中、幹太が暖簾から顔を出す。
「桔梗、保育園から電話」
「え?」
「――まだいたのか」
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