嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。


「なあに? 辛気臭い顔しちゃって」

(げ)

思わず、喉まで出かかった言葉を飲み込む。
「何よ、その顔」
飲み込んだ言葉が顔に現れてしまったか。

「子供の御迎えなんで通して下さいね」

木の板に書かれた『平保育園』
中に入ると、沢山植えられた木々や、木でできた遊具、綺麗に手入れされた花。
小さな小じんまりした、お寺の保育園で温かくて私は大好きだった。

このオカマさえ出て来なければ。

子供を腰回りに何人も引きつけながら、私の回りに近づいてくる。

「ねえねえ、バイク乗ったことある? 凄い気持ちいいわよ。海まで乗せてあげるから今度行きましょうよ!」

「お断りです。あ、先生、お世話になってまーす」

仕事着の着物のまま、保育室から見えた先生へ手を振って駆けていく。
子供の御迎え中に、寺の息子にデートに誘われるとか悪寒しかしない。

晴一を抱っこして荷物を受け取ると、先生に先日のお詫びと、今後の話、私か義母が迎えに来る話をした。
それを、横でふむふむと聞いているオカマが目ざわりだった。

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