英雄の天意~枝葉末節の理~
 もちろんのこと、受けなければ攻撃が出来ない訳じゃない。

 ただナシェリオがそうしないだけだ。

 実際のところ、それを基本としたナシェリオの剣は複数を相手にする事も可能だろう。

 しかしラーファンにそんな言葉が通じるはずもなく、勝敗を定めたい彼が競争心のないナシェリオから勝つのは当然ともいえた。

 ラーファンは口にする言葉を選んでいるのか、暖炉の傍にある椅子に腰掛けて宙を見つめていた。

 そんな友人の様子にナシェリオは小刻みに手を震わせた。

 彼が何を言おうとしているのか、出来るならば何も言わずにこのまま帰ってほしいと考える。

 しかし、

「ドラゴンを倒しに行こう」

 紡がれた言葉にナシェリオは驚いて音を立てるほどに椅子から立ち上がった。




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