英雄の天意~枝葉末節の理~

 ──さすが西の辺境とでも言おうか。

 この二日さしたる出来事はなく東に進んでいた。

 保存食の干し肉は食べ物がなくなったときのためになるべく残しておき、兎や鼠などを狩って野には食べられる草花も多く比較的、満足のいく旅となっていた。

 狩りはラーファンが、野草を摘んだり狩った獲物の調理はナシェリオがと自然と役割を分担するようになっていた。

 ラーファンは蛇やトカゲを嫌ったが、ナシェリオが料理して勧めると思っていたより美味しい事を知って喜んだ。

 しかしあるとき、

「ナシェリオ、あれ」

 先を進むラーファンは、眼前に小さな二つの影を見つけた。
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