英雄の天意~枝葉末節の理~
「先にお前に目を付けたのは冥王だ。冥王はお前を英雄にしたかったんじゃない、魔王とさせたかったのだ」

 その器は大いに闇を取り込むことが出来るだろう。

 ヴィテトエルはナシェリオを足がかりに、この世界を手に入れることを計画した。

 プレオイシスでは失敗したが、ドラゴンがラーファンを殺した事で冥王は歓喜した。

 ほんの小さな闇を心に灯せさえすればいい。

 そこからするりと手を伸ばし、じわりじわり心を支配してゆこう──人間は他の種族のなかで最も新しく、欲望の強い生き物だ。

 僅かなことで激しく心を揺らし、些細なことから物事を途方もなく大きくする。

「しかしお前は軟弱で、冥王の策略にはまるで乗ってこなかった」
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