英雄の天意~枝葉末節の理~
「それでも、間違っている」

 私が正しいのかは解らない。

 あるいは、君が正しいのかもしれない。

 それでも私は、君を止めなければと心に沸き立つ衝動に従う。

 ナシェリオは怒りを滾(たぎ)らせる瞳を静かに見つめ、剣を構え直した。

「もう少し利口だと思っていたんだがな。お前がそこまで愚かだとは思わなかった」

 完膚無きまでに叩き伏せ、俺の足元にひざまづかせてやる。

 そして闇を注ぎ込み、冥王が求めた本来のお前にしてやろう。

「いいのか?」

「なに?」

「そうすれば私は君を超えてしまうぞ」

「ふ、ふざけるな!」

 逆なでされ怒りに剣を振り下ろす。

「お前は何匹のドラゴンを喰った。それでもまだ人だというのか?」

 いつまでそんなものにすがりついているつもりだ。
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