英雄の天意~枝葉末節の理~
「あと少しで村です」
港町を出て歩き続け、ほぼ一日が経っている。
昇った陽はすでに姿を隠すまでに傾き、再び訪れる夕闇を押しのけるように遠方に見える小さな灯りにニサファは顔をほころばせて手を差し示した。
「ほう」
それに、ようやくかと溜息を吐いたのも束の間、ナシェリオは近づく気配にやや体勢を低くする。
その様子を見たニサファは、ただならぬ事なのかと押し黙った。
「それは誇り高き北の草原シャレナの末裔が駿馬。ガネカルなど易々と引き離すだろう」
ナシェリオは前方に目を凝らし、近づく気配の正体を理解したのかゆっくりと口を開いた。
まさか村に到着する前に出会うとは思ってもいなかったニサファは体を強ばらせ、渡された手綱を震えた手で掴む。
「ナシェリオ様」
不安げに見下ろすニサファに決して馬から下りるなと言い残し、ゆっくりと歩みを進めて剣を握った。
港町を出て歩き続け、ほぼ一日が経っている。
昇った陽はすでに姿を隠すまでに傾き、再び訪れる夕闇を押しのけるように遠方に見える小さな灯りにニサファは顔をほころばせて手を差し示した。
「ほう」
それに、ようやくかと溜息を吐いたのも束の間、ナシェリオは近づく気配にやや体勢を低くする。
その様子を見たニサファは、ただならぬ事なのかと押し黙った。
「それは誇り高き北の草原シャレナの末裔が駿馬。ガネカルなど易々と引き離すだろう」
ナシェリオは前方に目を凝らし、近づく気配の正体を理解したのかゆっくりと口を開いた。
まさか村に到着する前に出会うとは思ってもいなかったニサファは体を強ばらせ、渡された手綱を震えた手で掴む。
「ナシェリオ様」
不安げに見下ろすニサファに決して馬から下りるなと言い残し、ゆっくりと歩みを進めて剣を握った。