英雄の天意~枝葉末節の理~
 そのような獣にも何かしらの役割がある。

 それが善くも悪しくも、この世界に生きている以上はそのものの意識に関わらずあるものだろう。

 このガネカルも、ナシェリオと対峙する事で何かしらの役割を背負ったのかもしれない。

 それが、この先の未来にどう影響するのかなど狂った獣に解りはしないというのに。

「役割を背負わされるなどまっぴらだ」

 口の中で発し、大地を蹴って駆け迫る獣に剣を構える。

 しかし、策がないまま剣を振るう訳にはいかない。

 鋭い爪と大きな牙をなんとかいなして再び剣を構える。

 やるしかなさそうだと目を吊り上げ、口の中で何かを唱え始めた。

 その間にも獣は見境無くナシェリオに襲いかかり、それをかろうじて交わしていく。
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