英雄の天意~枝葉末節の理~

*倒すもの、倒されるもの


 室内に通されたネルオルセユルは物珍しそうに家の中を見回し、テーブルに置かれている野菜を興味深げに眺めた。

 ナシェリオはそんな男を一瞥すると、棚にある大小いくつかの木箱から一つを取り出し蓋を開いて中身をテーブルに並べる。

「今はこれだけです」

「ほう。こいつは素晴らしい」

 並べられた五つのパイプに低く唸る。

 木製のそれは、歪曲した細長い筒の先にくぼんだ駒のような形をしたものが付いている。

 乾燥したパイプ草の葉を適量入れて燃し、その煙を味わうものだ。

 パイプは人間だけでなく、多くの種族が楽しむ嗜好品である。

パイプ草の葉はよく乾燥させ燃した煙を楽しむものだが、花は一時的な軽い麻痺を与える効果があるため主に軽度の痛みの治療に役立てられる。
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