英雄の天意~枝葉末節の理~
「ドラゴンのいる洞窟までは片道で三日はかかったか」

 そんな数日も息子は絶えられないのか同行している兵士たちに始終、文句を重ねていた。

 竜退治に集められたその集団は、それぞれに秀でた者たちで組まれていた。

「錬金術師(アルケミスト)までいたくらいだ」

 呆れて肩をすくめる。

 あらゆる観点から金を造り出す方法を考察する彼らは薬学や哲学、経済学にも通じていた。

 金属という意味での金(きん)を造り出すには、多くの成分やその効果を知っていなくてはならない。

 それには莫大な研究費が必要とされ、その資金を得るために彼らは次第に経済にまで手を伸ばすようになり、金(かね)をも生み出す事となった。

 彼らを囲うには安定した研究室を提供してやればいい。
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