センチメンタル・スウィングス
それから数時間後。
私の兄が、事務所に飾るひな人形を持ってきてくれた。

私の父は、ブライダル関連の会社を経営していて、兄は、その会社の専務、という肩書を持っている。
「ハッピー婚活所」は、父たちが経営をする会社の関連子会社で、3年前に設立された。

「零士(れいじ)、ついでに飾るの手伝え」
「おまえに言われなくても手伝ってやる」
「何を偉そーに・・・あー桃」
「え?あ、はい?」
「おまえも手伝って。急ぎの仕事、ないんだろ?」
「あ・・・・・・はい」

なんで所長は、お兄ちゃんが来たとき、いつも私を「桃」とか「桃子」とか・・・とにかく、名前で呼ぶんだろう。
お兄ちゃんのことは、「零士」と名前で呼んでいるから、私のことは、普段どおり「檀上」でいいと思うんだけど。

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