らぶ・すいっち




「違うの。別に須藤さんのことを注意しようと呼んだわけではないのよ?」
「えっと……でも、スミマセンでした」
「人間、いつも気分が上昇しているものではないわ。落ち込んでしまうときもあるものよ。気にしないでね。次回頑張ってくれればいいの。きっと土曜メンバーの皆様もわかっているわ」
 

 にっこりとほほ笑む樣は、まるで菩薩樣のよう。英子先生は、やっぱりステキだなぁとほれぼれしていると、英子先生は一枚の紙を渡しに差し出した。


「料理講演会ですか?」


 その紙には、料理講習会と書かれてあり、日時や場所などが記載されている。

 その紙と英子先生を交互に見ている私に、フフッと軽やかに先生は笑った。


「ええ、そうなの。うちが加入している協会主催のものでね。そのときどきによって違うのだけど、今回は講師が来て、講演会をしてくれるの」
「へぇ……」


よく見れば、確かに講演内容も書かれてある。まじまじと見つめる私に、英子先生は身を乗り出してきた。


「すごくためになるから、須藤さん行ってみない?」
「え……?」

 きっととてもためになる講演会が行われることだろう。だけど、料理初心者、それも“超”が付くほどの料理下手が、講演会に出席なんてしていいのだろうか。

 これは料理教室協会主催のもの。ということは、私より料理が出来て、向上心がある人たちが集まる場でもあるだろう。
 渋る私に、英子先生は困ったように手を頬に当て、首を傾げた。


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