らぶ・すいっち




「なんですか? 信用していないって感じですね」
「もちろんです。だって土曜メンバーなら、私の他にも声かけ出来ますよね?」
「ええ、そうですね。専業主婦の方が大勢いらっしゃいますから」
「それなら、おば樣たちにお願いしても良かったと思うんです!」


 もっともな意見だろう。私はフンと鼻息荒く順平先生に食ってかかる。
 だが、相手はあの順平先生だ。一筋縄でいくわけもない。

 クツクツと意地悪げに笑ったあと、順平先生はまじめな表情になる。
 

(カッコいい……かも)


 思わず順平先生にみとれてしまった。それどころじゃないと改めて思い直し、座席に深く座りなおす。


「そのとおりですね。でも、先ほど言いましたが……私は須藤さん、貴女と講演会に行きたかった。その一言に尽きますね」
「なっ……!」


 絶句する私に、順平先生は悪巧みが成功したようにフフッと軽やかにほほ笑んだ。


「英子先生にお願いしたのですよ。今度の講演会、是非とも須藤さんと二人きりで行きたいとね」
「っ!」


 これで貴女が抱いている謎は解けましたか、と口笛でも吹きそうなほど陽気に言う順平先生を見てあ然としてしまった。

 
「あのですね、順平先生。冗談はほどほどでいいのですよ?」
「冗談? それは心外ですね。貴女に対して、私は嘘をついたことなどないですよ」


 嘘をついたことがない。

 その言葉を信じるとしたら、あの日——— キスをされ、スイッチが入ったかどうかを問われた——— の順平先生の言葉を信じて良いのだろうか。

 あのキスも全部、私のことが好きだからしたと信じていいの?
 戸惑う私に、順平先生は深く息を吐き出した。



< 121 / 236 >

この作品をシェア

pagetop