らぶ・すいっち




(うわぁ……結構いっぱい参加者がいるんだ)



 料理教室連盟に加盟している県内の同士たちだけと聞いていたが、思った以上に参加者がいたようだ。

 大きなホールには、すでにたくさんの人が座っている。
 八割方女性ばかりではあるが、男性の姿もチラホラ見受けられる。
 私が会場の雰囲気を見て立ち尽くしていると、順平先生は私の代わりに受け付けを済ませてくれたらしい。


「ほら、須藤さん。今日の資料とサンプルですよ」
「あ、ありがとうございます」


 順平先生に手渡された紙袋は、結構重い。何が入っているのかと覗いてみると、結構な数の書類やパンフレット、そしてサンプル商品がぎっしりと入っている。


「さて、そちらに座りましょう」
「あ、はい」


 ちょうど二席分空いている場所に座ることにした。
 席に座り、私は順平先生に手渡された紙袋の中身を確認する。


「今日は醤油メーカーの営業が講演をするようですね」
「ああ、それで……」


 紙袋が重い原因。それはサンプルの醤油が入っていたからだ。サンプルといっても、スーパーで実際に売られているサイズ。パウチ素材のそれは、見たことがある。

 その会社のパンフレット、商品の詳しい説明など。それとは別に、今回の講演会を主催した料理教室連盟が独自で作成した冊子なども入っていた。
 とりあえず連盟が作成した冊子をペラペラとめくり、今日一日のスケジュールを確認する。

 今の時刻は十時。講演会終了は、十三時である。途中間に休憩を入れたり、昼食時間を設けているが、どうやら一日仕事になりそうだ。

 講師がいて、それを長時間聞くなんてこと、久しぶりのことだ。
 仕事で新商品説明などで、本社に出向いて商品開発課の社員から説明を受けたりなどはしているけど、こうして仕事以外のことで勉強をするだなんて、学生に戻った気になる。



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