らぶ・すいっち
「いかがでしょうか?」
「ん−、ちょっと若い子向きかしら」
「もう少し大人色がご希望ですか?」
ええ、と深く頷くお客様に一本の口紅を差しだした。
「これは先ほどおつけさせていただいた口紅と一緒に発売した新作のお色です」
「これじゃあ……ちょっと地味じゃないかしら?」
「この口紅だけを見ると地味に見えるかもしれませんが、お客様の唇はとてもキレイな桜色ですので、唇に乗せるとほどよい色目になるかと存じますよ? 一度試されませんか?」
「そうね……じゃあ、お願い」
あまり乗り気じゃなさそうだが、この口紅はお客様に絶対に似合うと思う。
先ほど付けた口紅を落とし、今度は私が勧めた色目を唇に乗せた。