3分間の異世界旅行
「ナツは王になりたくないの?」
「なりたくない。」
ナツは振り絞るようにいった。
「兄貴みたいに、逃げ出してぇ」
これはきっとナツのこころの叫び。
「・・・・。」
銀色の世界が静寂につつまれる。
私もナツもなにも言わなかった。
「ナツ。私ね、小さい頃に両親が離婚して、離島にすんでる、おじいちゃんとおばあちゃんに引き取られたんだ。」
いつの間にか、私はナツに自分の悩みを話していた。
「私が、三ヶ月前高校に入学した時、島を離たんだけど、おじいちゃんが倒れちゃって。」
私は
淡々と喋りつづる。
「私が島に戻っておばあちゃん達の世話をしなきゃいけなくなっちゃったの。」
ナツは黙って私のはなしを聞いてくれた。
「おばあちゃんやおじいちゃんにはすっごいお世話になったから、今度は私が世話する番って頭じゃわかってるんだけど、ね?」
「私、陸上やってて。やっと全国大会まで、いけたの。」
もう、選択はしているけど覚悟がない。
私とナツは似ていないようだけど、少し似ている。