ハンバーガーと私とガールズラブ
 エリと美味しくなくて有名なアイスをわざわざ買いに行って、笑いながら食べたこととか。


 ミホが、ロックのことをあまり知らなかった頃の私に、シド・ヴィシャスをけなしながら褒めて教えてくれたこととか。


 財布を落としちゃった時に、アイリがツンツンした態度で、でも、一緒に探してくれて、見つかった時に一緒にホッとしたこととか。


 穂波ちゃんと、お弁当を食べたこととか……


 穂波ちゃんのことなんか、思い出したくも無い。


 でも……本当はわかってた。


 本当は、私、穂波ちゃんのことを好きになりかけてた。


 身体だって、ずっと小さい穂波ちゃんを抱きしめたり、キスしたり。


 無意識に考えないように仕立てたけど、そう言うことだって考えてたかもしれない。


 キスされた時は気持ちよかった。


「思い出したく、ないよ、もう。」


 何を思い出しても、寂しい。


 悲しい。


 虚しい。


 正志は、折れた腕、いつくっつくのかな。


 でも、荒井はずっと入院してろ。
< 105 / 166 >

この作品をシェア

pagetop