ハンバーガーと私とガールズラブ
「わ、私、人が集まってたから、救急車も来てたし、近寄ったら、先輩と、エリ先輩が……」


「う、嘘言うな!」


 私は腕を振り回して、言った。


「そんなの、嘘だよ、だ、騙されないよ! 正直に、正直に言え!」


「先輩、落ち着いて! ダメだよ、そんなの!」


 私は少しずつ後ずさり、体育館の壁に背中をぶつける。


「な、なんで、私の好きなおかず、知ってるのよ! なんで、私の家まで、知ってるのよ! 先月の、私の生理の時期とか、ねぇ! なんでよ! 答えてよ!」


 穂波ちゃんは答えない。


「狂ってる! 狂ってるんだよ、穂波ちゃん! お前なんか、嫌いだ!」


「そ、そんな……せ、先輩、ねぇ、ちゃ、ちゃんと話を聞いて、ぜ、全部、全部、説明、する、から。」


 穂波ちゃんが涙を流している。


 だけど、騙されない。もう、騙されない。騙されるわけには行かない。


 弟は。


 正志は、私が守るんだ。
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