小さな天使がくれたもの
またね


目を開けると、そこには天井。


消毒液のツンとする匂い…

起き上がろうとするとお腹に激しい痛み。


あぁ、今までのことは現実なんだって思い知らされた

自分のお腹をみると痛々しい傷が3箇所。

お医者さんはなるべく傷が目立たないようにと小さい傷を3箇所にしてくれた


お腹を撫でてまた泣く


だって、この傷が痛めば痛むほど

赤ちゃんはもういないよって言ってるみたいで


赤ちゃん。ごめんなさい。

でもね、私をママにしてくれてありがとう

少しの間しか一緒にいれなかったけどママはすごく幸せでした

あなたの為に買ったはらまきや

あなたの為に捨てたヒール

あなたを守って過ごした日々が幸せでした

あなたと離れ離れになったけどあなたのママはいつでもあなたの事大好きだよ?

あなたのママは山口ゆき。私しかいません


だから戻ってきたくなったら戻っておいでね?パパとママはあなたの味方だから


次の日



だ「おはよー!ゆき、寝れた?」


私「うん、寝れたよ」


だ「お腹、痛むか?」


私「うん、痛い」


だ「……ごめん。俺、守ってやれなかった。ゆきの事も赤ちゃんの事も。

ゆきの身体に傷つけた、心にも。

まだ16歳なのに重い荷物持たせたな。

俺がもっとしっかりしてれば…」


私「泣かないで?誰も悪くない。

だって、私。幸せだったもん!

赤ちゃんといれて。だいきくんと赤ちゃんを大事に守ってきて

赤ちゃんがさ、手術する前に
ママ、大好きだよって言ってくれたの

ママとパパ選んで良かったって言ったの

本当は赤ちゃんも産まれてきたかったんだろうと思うよ?でも、赤ちゃんが幸せだったって、そう思ってくれてるなら私達は悔やんでなんかいられないよ!


赤ちゃんのパパは誰?だいきくんでしょ?赤ちゃんのママは私。

それは赤ちゃんがいなくなってもずっと変わらない事実だよ?

私達ずっと赤ちゃんのママとパパなの。

だから、私達がしっかりしなきゃあの子戻りづらくなるよ」


だ「ゆきは、強いな…」


私「当たり前でしょ!母は強し!


あの子が私を成長させてくれたの」


だ「俺たち、幸せもんだな!


いい子に恵まれたな!」


私「うん!さすが私とだいきくんを選んだ子だね笑」


だ「そうだな笑」



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