ジサツストッパー〜これから自殺する人へ会いに行く〜
歩道橋の下を大型トラックが速いスピードで通りすぎて行く。


ん?一瞬、顎が光ったように見えた。なんだ?顎に何か付着しているのか?


顔を背後からのぞく。


涙?
涙なのか?
泣いているのか?



涙が頬を流れ顎に溜まり雫光る。



何をさっきから、うじうじしてんだ。

俺は思春期の童貞のガキじゃねー。

女の子を助けにきたんだ。

救うんだ。



これが俺の道程だ。



顎の涙の雫が光り落ちて行く。



ゆっくりと落ちて、冷たいコンクリートに染み込んだ。


本当に、心の底から辛く悲しいとき。

本当に、心の底からありがとうのとき。


顎から涙の雫が落ちることを俺は学んだ。


顎の雫(あごのしずく)




ふと、顔を上げると、女子高生は振り向いていた。


そして女子高生のはなつ衝撃的な言葉に、重力の世界へと引きずり込まれて行く。


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