Fun days

ハーフタイム

休憩中のみんなを撮る美桜の背中を
村田は眺めていた。

俺、せっかくたくさんシュート決めたのに、
何だかすごくかっこ悪い気がする。
試合中なのに、美桜ばっかり見ちゃって。
しかもバレてるし。
あーあ。何だかなあもう。

遠い目をしていると、不意に声をかけられた。

「あのー。試合、6番で出てましたよね」

「はっ、はい」

気が抜けていたので、すごくびっくりしてしまう。
…この子、誰だろう?
他校の女の子かな。

「上手ですね。前回出てませんでしたよね」

「最近、このサークルに入ったので…」

知らない人から褒められちゃった。
照れる村田。

「そうなんですか。あの女の子、彼女ですか?」

美桜を見て、聞いている。

「…はい」

「あー、そうですかー。じゃあまた」

冷めた顔で言って、女の子は行ってしまった。

…言っちゃった。
彼女、ですか?
はい。
って言っちゃった。
心のなかで繰り返して、鼓動が激しくなる。
うわー、彼女だって。
…彼女じゃないけど。
あれ?
これ、美桜にバレたら怒られる?

いや、でも、色々言うなっていわれたし。
説明するのも、めんどくさかったし。
…でも、すごく怒りそう。
だって、嘘だもん。
…だんだん怖くなってきた。

”ピーッ”
長い笛が鳴った。
休憩が終わって、試合が始まる。

「村田も写真に入ればよかったのに。
 まあ、あとで撮ればいいか」

言いながら、美桜が戻ってきた。

「うん」

答えるが、美桜の顔は見れない。
バレる前に言うか。
バレないようにがんばるか。
どっちも無理な気がする…
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