Fun days

試合1-3

美桜は、一生懸命写真を撮っている。
俺と交代した佐藤を撮っているんだろう。
メンバー全員を撮ろうとする美桜は、とても律儀だ。
そして、嘘が嫌い。

前に、英語の宿題の心配をしてくれたのに
もうやったから平気、なんて嘘をついたら、すごく怒られた。
先生にも怒られたけど、美桜のほうが怒ってた。
宿題をやらないのは自由だけど、
嘘をつかれるのは嫌だって。

はあ…。
彼女だって言っちゃったって、はやく言わないとな。
…怒って帰るかな。
やだな~。
今日、たいして話してないのに。

「みんなかっこいいね…」

写真を撮りながら、美桜がつぶやく。

「う、うん」

全然試合を見ていなかったから、よくわからないけど
とりあえず答える村田。

「村田もかっこよかったよ。
 ちゃんと見てるからね」

美桜は優しい声で言った。

「うん…」

さっき、美桜に見て欲しいって言ったこと
覚えててくれたんだ。
うれしい。

「でも、エアバスケからは考えられないくらい
 バスケが上手でびっくりした」

いたずらっぽい笑顔で美桜は言った。

「エアバスケはあくまでもエア、だからね」

笑いながら村田も答えた。

…美桜を怒らせたくないなあ。
ふと思い出して、また気が重くなる。
なんであんなこと言っちゃったんだろう…
巻き戻して、もう一回やり直したい。
彼女じゃなくて、好きな人です。
僕が一方的に好きなだけです。
…頭の中で言い直してみて、ちょっとせつなくなる。

”ピーッ”
笛が鳴って、また短い休憩に入る。

みんなベンチに戻ってくる。

「このあと、10分試合したら、
 違うチームの試合だっけ。で、もう一試合」

「そうだよ。疲れた?」

「ちょっとね。これ終わったら
 外の空気を吸いに行こうかな」

「うん…俺も行く」

その時に、話そう。
…話せると、いいなあ。
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