【詩】この花をいま、君に捧ぐ

*風鈴草

たったひとことが伝えられず
幾度季節を見送っただろう

真夏の夕立
ふたりで身をひそめた木陰

そっとさしだされるハンカチ
気恥ずかしくて
瞳をそらして
うつむいて

受け取った


「ありがとう」


そのひとことが伝えられず
また今年も夏が巡る

この胸の奥にくすぶる想いが
さやと吹く風に
もう少しだけ揺れてしまえば


と くん


という音につられ


きっとあなたに伝えられるのに



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花言葉『感謝』
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