紙飛行機にのせて…
「そ、そうだな!只、様子見に来ただけだからな!それじゃ!」

片手を挙げて、父は出ていった…



「昔は、そうじゃなかった…」
(え?)

「昔は…そうじゃなかったよ?センセと慎也君…」


琴美は、ポヤーっとしてる。

「花…戸…?」

「ねぇ、どうして…?あの時は、嬉しいな…楽しいな…」


今の彼女をみて、慎也は…


「え?」
自然と涙が出ていた。

当てた指には、水らしき液体がついたからだ。



「ねぇ…慎也君?」

昔、怖い思いをしたかもしれない。


例えば…
考えたくはないが、慎也が…


「花戸!」

上半身を起こした状態の彼女を、両手で包み込んだ。

「先…輩?」

「ごめん。今は…話せない。」

「にゃ?」

琴美が、とぼけて我に返った。
手を離す。


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