紙飛行機にのせて…
お願い、ほっといてよ…

パシャーン…
滴が一つ、落ちた…気がする。

それは、悲しみから生まれたもの?


「琴美!琴美〜!」

「琴美!聞こえているんだろ!」

うるさい…
「お姫様!」

深い深い暗闇の中、新しい声。

「姫しゃま!」
うるさい…消えてよ。

「あなたはそうじゃないでしょ?」
また、新しい声。


『うるさい…何もかも、ワスレサセテヨ…』
自身が分からない琴美は、そう言う。


そうすると、新しい声は消えた。

声が消えると安心する。
けど…それでも消えない声がある。

「琴美!」
名前を呼ぶ、その声の一つが消えない。

「琴美!」
うるさい!うるさい…五月蝿い!

消えてよ!ほっといてよ!


誰かが呼んでいても、ほっといてほしんだから…

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