紙飛行機にのせて…
担任がいなくなり、慎也は、唇を噛み締めた。
「夢とか、進路なんて…どうでもいい。」
そう呟くと、進路指導室を出て、昇降口へと下りた…
慎也のクラスの下駄箱には、慎也以外の外履は何ひとつなかった。
3年の生徒は皆、進路が決定していて、来るにしても先生に相談するか補修くらいだからだ。
只1人、慎也は…
決まってもいない為、毎日毎日、くるのだ。
外に出る。
今日は、グランドでやる体育がないのか、生徒は授業中の為、誰1人いない。
門へと向かう。
「おや、都月君、帰るのかい?」
途中、声をかけられた。
「事務員さん…こんにちは。」
学校で働いている事務員さんだった。
「お父さんは、元気かい?」
「はい。」
「そうかい×2都月君は、病院を継ぐのかい?」
慎也の住んでいる町の中で最も有名な病院が、都月病院なのだ。
「まぁ…継ぎますかね…」
嘘をついた。
「お父さんに、宜しく伝えておいてくれないかい?」
「はい。」
実は、
この事務員さん、前に慎也の父親の手術を受けたのだ。
脳に腫瘍が出来たとかで…
腫瘍は中位。失敗例は…あるらしいが、
素人でもない、慎也の父親だったから、成功。