ずる休みはフルーツパフェと
「ーーー?!!」
声にならない叫び声が部屋に響く。
普段なら薄い壁の向こうから抗議の声が上がるものだが、今はその隣人も仕事に出ていていない。
これから支度をするとして20分強。
職場までどれだけ急いでも30分はかかる。
そして、始業時間は8時40分。
この時点で完全に遅刻が決まった。
部屋の電話を見ると留守番電話の録音テープがかなり回っている。
順に再生をしていくと、同僚や先輩の声。
『上ちゃん起きてるー?もうすぐ起きないと遅刻だよ』
『今日遅刻したら今期三回目よ、上中さん』
普段から仕事に間に合うときでも始業5分前に駆け込む上中は、毎朝誰かから部屋に電話がある。
それにしても、今回ほど完全に寝坊をしたのは初めてだ。