恋の治療は腕の中で
クリスマス
季節は銀座の舗道に彩りを与えていた街路樹の紅葉から青一色のLEDライトの幻想的な風景へと姿を変えていった。

街のあちこちでクリスマスソングが聞こえてくる。


「おはよう。」


いつものようにスタッフルームで心奈に挨拶をする。

「おはようございます。

なんか急に寒くなりましたね。」

なんて話してると瑞季が

「うー、寒い寒い。

おはよう。」

って言いながら入ってきた。


「まだクリスマスもきてないのに雪でも降りそうな寒さだね。」

「うわー、ホワイトクリスマスなんてロマンチックじゃないですか。」

「まあね、でも社会人としては雪は勘弁して欲しいかも。」

確かに瑞季の言う通り。雪が降ったら途端に電車が止まってしまう。


「そうだね、雪で喜べるのは学生までかもね。」


「えー、お二人ともロマンチックじゃないですよ。もうすぐですよ、クリスマスわ。」


悠文と過ごす初めてのクリスマス。忘れる訳ないじゃない。

プレゼントは三越で見つけたアルマーニのグレーのマフラー。カシミヤ生地なので滑らかな手触りで、なんと言ってもちょっと光沢のあるグレーが悠文にとても良く似合いそう。

夕食は悠文がお店を予約してくれてるらしく今からとても楽しみ。

「何、ニヤけてるんですか。

もー、どうせ藤堂先生とのクリスマスのことでも考えてたんじゃないですか。」


心奈何でわかるの?
って言うか私ニヤついてた?
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