恋の治療は腕の中で
気象庁の発表によると今年の冬は、記録的な寒波に見舞われるらしい。

確実に日いちにちと寒くなっていく。

「今日も寒いですね。東北の方は大雪ですって。」

こんな会話をここ何日かしている気がする。

お昼休みにクリスマスプレゼントの話題になると

「紗和さんは、藤堂先生に何あげるんですか?」

私は三越で買ったアルマーニのマフラーの事を話すと

「へー、いいじゃないですか。なんか藤堂先生に似合いそうな気がします。」

女性誌を見ながら瑞季が

「女性が貰って喜ぶクリスマスプレゼント。だって、二人なら何欲しい?」

「うーん。私だったらヴィトンのバックかな?」

心奈さんヴィトンのバックとはまた高価なものを。

「紗和は何欲しい?」

「うーん。特に無いかな。気持ちがこもっていればなんでも嬉しいと思う。」

「紗和らしいね。

でも男の人はそう言うの一番困るんだって。」


ほらっ。

女性誌を見ると確かに書いてある。

何々、欲しい物ランキング一位は、指輪かぁー。

幾つもの指輪の写真が載っている。

私はその中の1枚の写真に目がいくと

「あー、これね。すごく素敵だよね。」

瑞季が指したその指輪は、プラチナのリングで真ん中に1キャラットはあるダイヤとその横にそれより少し小さめのダイヤがそれぞれ3つづつ並べられたなんとも存在感のあるリングだった。

「うん。まっ、私には豪華過ぎて似合わないけど。


うわっ、高っ!」

見ると¥1.500.000 ゼロおおすぎでしょ。私なんて桁数えちゃったよ。いち、じゅう、ひゃく、せん、……

これって、クリスマスプレゼントで貰う金額じゃないんじゃない?

世の中の女性はこんなもの貰ってるの?


「でもホントに素敵ですね。こんなの貰えたら即OKしちゃいますよ。」

心奈確かさっきはヴィトンのバックって言ってなかった?


「でも、この仕事してたら指輪なんて出来ないから宝の持ち腐れになっちゃうよね。」


「そうですけど、本当に紗和さんてロマンチックじゃないんだから。」

「私なんて、手が大きいから指輪のサイズも大きくてやんなっちゃうよ。」

瑞季がわざと名一杯手を大きく広げて見せてきた。

「心奈は、小さくて細いよね?サイズは幾つなの?」

「6号ですよ。」

「えー、そんなサイズの人いるんだ。」

瑞季驚きすぎ。

「紗和さんは?」

「私は7号かな?」

「あ~ぁ。皆いいわね。堂々と言えるサイズで。」


「そんなことないですよ。年取ればそのうち嫌でも太くなるんですから。」

「心奈~。あんたね~もしかしてケンカ売ってる。」

「キャー。

滅相もないですよ。」
< 113 / 163 >

この作品をシェア

pagetop