恋の治療は腕の中で
ガラガラガラ♪


医院長がベッドに横たわったまま病室に戻ってきた。


「医院長!」


皆が駆け寄ると医院長はまだ麻酔から覚めていないのかぐっすり眠っているようだ。

ベッドを定位置に止めると看護師さんは慣れた手つきでコードを繋いであっという間に医院長の周りはコードやチューブだらけで足の踏み場もなくなる。


「失礼します。」


手術をしてくれた脳外科の先生が来てくれた。


「ありがとうございました。」


「海老名さん頑張りましたよ。

もう大丈夫です。以前より元気になるんじゃないかな。」


今まで気のはっていた狭山さんがその言葉を聞いて何度も何度もお礼を言いながら安心したのか泣き出してしまった。


もしかして狭山さんって医院長のこと……。

私のそんな気持ちを察したのか悠文が私にコクンと頷いてくれた!



帰りのクルマで、


「狭山さんは海老名先生の亡くなった奥さんの事を知ってるから自分の気持ちを打ち明けるつもりないんじゃないかな?」


「医院長は、狭山さんのことどう思ってるんだろう?」


「多分、好きだと思う。

ただ、俺達みたいんじゃないんだろうな。うまく説明できないけど、ずっと一緒にいたいと思う相手ではあると思う。」

きっと、燃え上がる恋ではなく長い間一緒にいたからこそずっと灯続けるロウソクの炎のような物なのかな。永遠に無くならないロウソクの。

私もいつか悠文とそう言う夫婦になれたらいいな。

運転している悠文をそんな事を考えながらじっと見ていたら


「ん?どうした?」

って、右手で私の頭をクシャクシャってしてそのまま私のほっぺたに触れた。私はその手に自分の手を乗せた。



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