恋の治療は腕の中で
私が恥ずかしそうにリビングに入ると、藤堂先生は、椅子に腰掛けてコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。


「すみません。



ありがとうございました。」


「着替えは、後で洗濯してお返しします。」


「あー、別にいいのに。」

藤堂先生は、私の胸元に視線を移し

「悪いね。あいにく、女物の下着は置いてなくて。」


私は真っ赤になりながら慌てて腕で胸を隠した。

「それより、俺お腹空いたんだよね。

昨日誰かさんのせいで食べそこなったから。」


それって、私だよね。

「何か作りましょうか?」


「望月さんて、料理できるの?」


「一応。1人暮らしですから。」

時計を見るともうすぐ11時になるところだった。


冷蔵庫の方へ近づき了解をえて開けると、

へー、結構充実してるじゃない。もしかして、藤堂先生って料理するのかな?

いや、あれだけのルックスの持ち主だもん女が作りに来てるのかも。

さっきの女物の下着がないのだって、分かるもんですか。

「洋食と和食どっちがいいですか?」

「あっ、でも和食だとこれからご飯を炊かなきゃだから時間がかかりますよね。

それなら、パンの方が早くできるので洋食にしますね。」

パンを取り出すと、私のすぐ後ろからパンの袋を取り上げて

「昨日は飲み過ぎたから時間がかかってもいいから和食にしてくれ。」


耳元でそう言われた。

だから、耳元はやめて~~。







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