恋の治療は腕の中で
リビングに戻ってきた先生は、私を心配して、ソファーに座ると私の上半身を起こし優しく包んでくれた。


「少しは落ち着いた?」


「は、はい。」





「あのー、こんなことになってしまって。

何ていったら言いのか。


今日のことは、忘れて下さい。私は平気ですから。


藤堂先生も気にしないで下さい。


また明後日から今まで通りに仕事をして下さい。」


泣いちゃだめ。
私は1人でいいんだから。


「俺の名前は、悠文だよ。」

はぁー?

私が不思議そうな顔をしてると

額をペシっ

「は る ふ み って

呼んでみて。」



「は る ふ み?」


「そうそう。これからは、藤堂先生じゃないからね。」


んん?


「まだ分からないみたいだね。」


分かる訳ないじゃない。

「俺達、婚約してるんだよ。

だから忘れる必要なんてないし。

第一、紗和は初めてなんでしょ?平気な訳ないじゃない。」


「俺の前では、強がるなよ。

もっと俺に甘えろよ。」


強がらなくていい?

本当に?

甘えていいの?


気がつけば私は泣きながら悠文の背中に腕をまわした。

私ってこんなに泣き虫だったっけ?


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