3日限りのルームシェア
適当なサイズに切って口に入れようとすると・・・
「うわ~~これ美味しいです。」
知香の笑顔を樹ではなく横で立ってる2人に向けていた・・・てかお前らまだいたのかよ。
フォークに刺したハンバーグを持ったまま
樹は、いつまでいるんだよ。邪魔するなと言わんばかりに
慶太たちを睨んだ。
だが、慶太たちはそんな樹を無視するかのように
知香に話しかけていた。
さっきまで何となくいい感じだったのに
何でこいつらは邪魔するんだ?
樹はイライラしながらハンバーグを無言で食べていた。
「ね~~ぇ。知香ちゃんって・・・今・・・彼氏いるの?」
雪音がニコニコしながら知香に尋ねた。
「え・・・今はいませんが・・・」
樹のフォークを持つ手が止まる。
雪音をちらりと見るとばっちり目が合ってしまった。
しかも雪音の顔は何か企んでいる様だった。
そして樹にむかってウインク。
・・・何なんだ?そのウインクは・・・いらねーよ。
頼む、もう・・・余計なことはしてくれるなー。
どんなに目で訴えても・・・・無駄な様で・・・
「え~~いないの?・・・かわいいのに・・・」
雪音は知香に言いながらも目だけは樹に向けていた。
「そんなことないですって・・・雪音さんの方がめっちゃお綺麗ですよ」
頼む、余計な事だけは・・・・
余計な事だけは・・・そう思った時
「ありがとうー。じゃあー好きな人とかいるの?気になる人とかさ~」
樹が固まる。
しかもめっちゃ楽しんでんじゃんよー。夫婦で・・・
慶太も興味津々な様子で知香の答えを待っている。
「好きな人・・・っていうか・・・気になる人は・・・いるような・・いないような」
樹は、知香の言葉を黙って聞いていた。
いるような、いない様なって・・・
そんなあやふやな答えじゃ余計気になる。
でも・・・それってもしかして・・・
だが、この2人の前でその答えを聞きたくなかった。
「・・だってさ」
雪音は樹に向ってそういうと
ごゆっくり~と言いながら店の奥に入っていった。
慶太は、声を出さずに口だけで「がんばれよ」というと
片手を上げ店の奥に入っていった。
< 58 / 96 >

この作品をシェア

pagetop