3日限りのルームシェア
知香は耳を疑った。
あれ?お礼を言われるならわかるけど、今のって・・・
梓は表情一つ変えず知香をみると口角を上げ
「どうせ、今見た事をみんなに話して私の事をばかにするんでしょ?
だったら手助けなんかしてくれなくてもよかったのに」
梓の言葉に知香の顔がみるみるうちに怒りへと変わった。
「はぁ?何言ってんの?なんで私が今見た事を話さなきゃならないの?
ってかどうしたらそういう考えに行きつくのかわかんないんだけど。
普通はありがとう!それでおしまいじゃないの?それに人の恋に
なんか私興味ありません。自分の事でいっぱいいっぱいなんだから・・・」
そう一気にまくしたてると、梓の顔をもう一度みた。
「私、あなたと友達になりたいって入学したころすごく思ったけど
・…友達にならなくてよかったわ。じゃあ・・」
そういって階段を降りはじめた。
「待って!」
知香を呼びとめる声に知香の足が止まった。だが知香は振り返ろうとはしなかった。
「・・・ごめんなさい。せっかく助けてくれたのに・・・・。」
梓の声がだんだん小さくなっていることに気がつき知香は振り返った。
梓はその場にしゃがみこみ、涙を流していた。
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