3日限りのルームシェア
「中学の頃から・・・よく告白されたりしたんだけど、
その気がないから断ってるとなぜか女友達が自分から
離れていっちゃったの。最初はそれがショックでなんとか
みんなと仲良くなりたくて努力したんだけど、すればするほど距離が出来て、
そのうちなんだかどうでもよくなって・・・
一人の方が楽だって思う様になって。
・・・・・久しぶりだったの・・・人にやさしくされたの。
だから信じられなくって・・つい」
知香の足は自然と梓の方へと向かっていた。
「私はそんなくだらない理由で距離をとったりしない。
どう?友達にならない?」
梓は知香を見た。
「私の名は宮下知香。今日から私たちは友達。いい?」
梓は驚いた様な顔で知香を見つめていた。
「あれ?やっぱり…私なんかと友達にはなれない・・とか?」
勢いよくいったものの梓があまりにも驚いた顔をするので
やっぱり自分の力じゃ無理かと思ったが
梓は首を横に振っていた。
「ち・・違うの。久しぶりに友達って言葉をきいて・・
どきどきして・・・」
「私は裏切らないから・・・」
そういって知香は笑った。
「私の名前は森下梓。友達になってください」

それが私と梓が友達になった理由。
そして・・・梓の家に初めてお邪魔した時に樹さんを初めて見た。
あの頃の私は女の子となら初対面でも話せるのに
男の人・・・特に年上の男の人の前に出ると極端に人見知りして
しまっていた。
案の定、初めて樹さんを見た時もそうだった。
梓のフォローもあって徐々に話せるようになったけど
そんな感じだったから話すだけでいっぱいいっぱいだった。
ただ知香にとって樹はとても眩しい人に見えていた。
ドラマやマンガに出てくる主人公の様に・・・・
だから恋愛の対象にすらなかった。
知香はそんな事を思い出していた。

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