あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
カカオは、あたしの理想の人だ。
金髪碧眼、容姿端麗の王子様。
あたしの好きな二次元でいえば推しキャラで、もしあたしが地球の女子高生のままだったら黄色い悲鳴を上げてひたすら団扇を振るだろう。
それは憧れであっても、恋ではない。
届くことはないと、振り向くことはないとわかっているから。
けれど、恋をしたことのないあたしにとって、その二つに線引きすることが難しく、曖昧になっていく。
そう、これは憧れなのだ。
自分自身に言い聞かせ、眠るために強引に目を閉じる。
けれど、感じる体温、呼吸の音は確かに本物でそこにある。
それでも……ちょっとだけ……。
ちょっとだけでいいから、このままでいたい。
そう思ってしまうことは、おかしいことなのかな?
問いかけても答えはないけれど、あたしは自問自答することしかできなかった。