海と空と、太陽と
あれからどのくらい時間がたっただろう。

クラスには私合わせて三人しかいなかった。

それも一人は腕を組んで寝てるし、もう一人は携帯してるし。

はあ…

絶対この人達には負けたくない。

「ねー静駅ー??」



「おーい」

え、私の事、かな。

てかだよね…

私、静駅からいつも来てるもん。

「なあ」

「へっ、きゃあ!!」

なっ、なっ、

「あ、ごめんね」

いきなり横から顔を出してきた彼。

さっき携帯を扱っていた人。

そして私の叫び声で目を覚ましてしまった彼もこちらに来る。

な、なに…

「お前静駅だろ」

と、携帯君が言う。

名前は本田 基羅(ほんだ きら)君。

「え、てかなんで知って…」

「俺さその次の駅なんだよ。帰りよく見かけてたからさ」

「そう…なんだ…」

というか私を囲まないで…

二人とも、超がつくほどイケメンなんですけど…

入学してから人気者だった二人。

それは男女問わず先生達までもが。

二人はいつも仲が良く一緒にいる。

「つか、これ真面目にやんの??」

と、本田君は聞いてきた。

「え、でもみんな…」

「んなしてねーって、絶対途中でやめたやつだろ」

「えっ!!そうなのっ!!」

「お前ばか??」

「ぷっ、」

それを聞いた前田 悠大(まえだ ゆうだい)君は笑う。

「な、なによっ」

二人ともしてっ

私をバカにしに来たの!!??

「なんも」

と前田君は言う。

「…そ」

てか、集中したいんだけどっ

「ねぇ、君たちふたりはしなくていいの??」

「するわけねーじゃん」

「うん、やんないよね普通」

本田君に続いて前田君もそう言う。

「なんて人達…」

「いや、真面目にやってんのお前くらいしかいないよ」

「う…」

「先生があれじゃあね」

本田君も前田君もー!!

「じゃあ帰ってください、勉強の邪魔ですぅ」

「は??ここまで俺らが待ってんのに??」

「…え??」

どういうこと??

「なんかさー、お前って鈍感って言うか何ていうか、」

「ど…どんか…」

さっきからひどいっ。

「お前が終わるのこっちはずっと待ってんの」

「なんでよ」

私は本田君に言う。

「んなの当たり前じゃねーの??女ひとりで暗い中危ないっしょ。いくらお前でも」

「はっ、意味分かんないし!!」

「とにかく早く終わらせるか辞めるかしろよ」

「待っとかなくていいっての!!」

「はぁ…これだからバカって…」

「ばっ、…バカじゃないしっ」

「バカって言葉に敏感だなお前」

「なっ、」

「この学校、ほとんどの生徒が男子だからいくらぶすでも危険っしょ」

「ぶすって、悪かったね」

どうせブスですよー

「そう言う意味じゃねーよ。とにかく襲われてやめてった女がこの一年でもう五人はいるんだよ。わかるか??」

なんとなく、聞いたことはあった。

ひどいらしい。

言葉にならないほど。

襲われた人なんて怖くて言えないまま、学校を辞めていくらしい。

「って!!あんたたちがそうかもしれな…」

きゃあああ!!

へっ!!

廊下から悲鳴が聞こえた。

もしかして…

「行くぞ、悠大」

「あ、でも野口さんが」

「…ったく仕方ね」

え、な、なに…

本田君が私に近づいてくる。

外もすっかり暗くなってよく見えないけど…

「ひゃっ」

「掴まれよ」

な、な、な、なんでお姫様だっこされてるの!!

「やだっ、離してっ」

「暴れんな、今はそれどころじゃねー」

「だっ、だってぇ」

た、高いし速いし落ちそう!!

の前に怖いっ!!!!!

「絶対落とさないでよっ」

「じゃあ暴れんな」

「絶対離さないでよっ」

「お前がな」

なによこの毒舌男!!

「いたよ、基羅!!」

「あぁ」

私達は急いだ。

「んだよお前!!さっさしろよ!!」

いたっ!!

男の子がバリバリキレてる。

本田君は私をゆっくり下ろすと、その男の子の方に前田君と姿を現した。

私は勿論見えていない。

「やっぱりお前だったんだな」

「だ、誰!!??」

「佐々木、最低だな」

「…基羅、悠大!!」

その男の子は慌てる。

私はその好きに女の子の元へ。

その子は隣のクラスの人だった。

「佐々木、お前もう退学だな」

「まじか…お前ら二人に見つかるとはな…」

「いや、そいつのおかげ」

前田君は私に向かって言う。

「え??」

なんで??

「こいつがばかで、」

「ぐっ、」

「バカな発言ばっかして」

「なっ、」

「長い長い居残りがあったからかもな」

本田君はそう言って笑った。

「なによ!!そこまで言わなくたっていいじゃん!!」

私は本田君の背中を叩く。

「いって!!お前次覚悟しとけよ」

「へっ!!」

「ふーん、そう言う事か」

そう、私達を見て男の子は言う。

「は??」

「いや、なんも。まあ後は好きにすれば??俺は退学でもなんでもいいんで」

そう言って男の子はいなくなった。

< 3 / 34 >

この作品をシェア

pagetop