清掃員と経営者

瑠美は早速着替え、ブローしてきたセミロングの髪を一つに纏め、相田に渡された冊子を読み始めた。

そこには館内の清掃について記載があり、各フロアのゴミ箱の位置や立ち入り禁止区域などの詳細がある。

自分のバッグからペンケースを出して、蛍光ペンでラインを引き頭に叩き込んでいった。

暫くして相田と三田が戻ってきた。瑠美の手元の冊子を見て2人は目を見開く。


「まじー!!村上さんすごーい!!」

「本当!ここまでした子は初めてよ。」


2人は絶賛しながら覗き込んできた。瑠美は焦って冊子を閉じる。


「あ…時間があったので少し。でもまだ全然覚えてません…。」

「何事も一所懸命なのはとても良いですね。これなら彼も…ふふふ。」


意味深な事を言いながら表情をほころばせて相田は楽しそうに微笑んだ。


「さぁ!お喋りはここまで。午前中にエントランスの床掃除を仕上げちゃわないとっ!」

パンパンと叩いて仕切り直し、準備を始めた。
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