血の記憶
その事実が俺の動きを鈍らせる。
それでもゆっくりゆっくり近づいていく。
やっとあと少しでたどり着く。
そんな時だった。
触れるか触れないか、そんな位置にあった菜央の手が力なく落ちた。
ちょっと待てよ
なんだよ、これ
こんなの認めない
認めたくもない
菜央の手を握る。
まだ暖かいその手は握り返してはくれなかった。
救急車のサイレンが聞こえたのは
菜央が消えてからだった。
誰か
誰か嘘だと言ってくれ――――――――。