かごの中の鳥は
一葉が目を開けるとご主人様の唇が重なっていた。
今までにかないほど優しく長いキス。
頭の芯まで痺れて何も考えられなくなるほど。
「一葉。もうどこにも行かせはしない。『外』に2度と出られないように鍵をかけて鎖で繋いでおこうか。誰め見ないようにオレしか見ないように暗示をかけて。お前はオレのものなのだから。オレのことだけ考えていればいいんだ。それができないのなら一葉、お前を殺してしまうよ?」
あの時の妖艶な笑みを浮かべながら話すご主人様に一葉は悦びさえ感じていた。
「はい。ご主人様。一葉はご主人様のことしか考えません。2度とご主人様の傍を離れたりいたしません。もしそのようなけとがあればその時はご主人様の手で…」
ご主人様の手にかかって死ねるなら本望だ。
「さあ。屋敷に帰るぞ。また忠誠の儀式をしなければならないからな」
ご主人様に抱き抱えられながら、一葉は次第に意識が遠退く中その言葉を聞いていた。

2度と出られぬその腕の中で……。




 かごめ かごめ
  かごの中の鳥は――

翼を取られた鳥は2度と外には出られない……。

死ぬまでずっと、かごの中……。


< 13 / 13 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

夢十夜
桜 咲/著

総文字数/2,232

その他7ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
オムニバス形式でお送りします 夢のようなたった一時の出来事 今晩も何処かで出会いが…
diving
桜 咲/著

総文字数/601

青春・友情2ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
何でこんなことしてるんだろう。 何のため? いつも『死』と隣り合わせ。 やめればいいのに。 恐怖感が付き纏う。 だけど。 この一瞬が。 私を歓喜の渦に。 だから、やめられない。 (実話を元に構成してます)
詩 箱
桜 咲/著

総文字数/2,317

その他8ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
詩…というより 単なる呟き。 思ったことを綴っただけですが… どうぞ☆

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop