小さなキミと
剛のアホ。

どうなっても知らねぇからな。


自分でも無意識のうちに、オレは早々に主導権をかっさらっていた。


この感じ、何となく覚えてる。

やっべ、まじで止まんねぇかも……。


キスが深くなるにつれ、漏れる声も大きくなる。


ここは学校だ、そんな事はとっくに知ってる。


だからこそ、こっちは必死に理性と戦ってんだよ。


剛のアホ。

人の気も知らないで、そんな声出すんじゃねぇよ……。


オレは小学生じゃねんだよバーカ。

男だって、分かってんのかよ。


少し不安に思ったが、絡まる舌にはちゃんと確かな応えがあった。


あぁ畜生すげぇ好きだ……。


誰にも渡したくない。


一限目終了のチャイムが鳴った時、オレたちの体勢は少し変わっていた。







その日の昼休み。


珍しく、結と日向が食堂に行きたいというので、あたしも2人について行くことにした。


今日はもともと、お昼を購買で買おうと思ってたし、ちょうど良いや。


軽い気持ちで食堂の入り口をくぐった直後、あたしの心臓が爆発した。


「あっ、圭ちゃん!」


彼らを一目見るなり、結がパタパタとスリッパを鳴らして駆け出した。


そんな結に、隣で日向はクスリと笑った。


そしてあたしはというと────その場でフリーズして動けない。

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