小さなキミと
「お願い、どうしても鳴海さんと2人で撮りたいんだよね」


そしてすぐにあたしから離れ、顔の前で手を合わせた南雲くん。


近くで見た南雲くんは、割と整った顔立ちをしていた。


ドキリと胸が鳴ったのは、不可抗力なのでどうしようもない。

イケメンに弱いのは女の性(さが)、ということにしておこう。


「わかったよ。もぉ、面倒くさ」


結、南雲くんのどちらに答えるでもなく、あたしはため息混じりにそう言った。



6つあるプリクラの機械はどれも使用中だった。


一番列の短い機械に並んだあたしたち3人。


「あれー、100円玉がない。ちょっと両替してくるわ」


適当なタイミングで適当な嘘をつき、列に並ぶ2人を残してあたしはその場を離れた。


両替機がある場所の奥には、ベンチや自販機が置いてあり、休憩用の開(ひら)けたスペースになっていた。

都合のいいことに、そこは先ほどのプリクラ機械から死角になっている。


ラッキー。ここで休憩できるじゃん。


そう思ってあたしがベンチに近づきかけたとき、どこからか「ゆいッ」という叫び声が聞こえてきたのだった。

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