きっと、明日も君がすき。
頭の中でぐるぐると話題を探して咄嗟に引っ張り出した。
「別に、普通」
ですよね。
思わず苦笑いになってしまう。
結真くんのことだ。卒なくこなしているに違いない。
「女の子たちが言ってたよ。分かりやすくて楽しいって」
楽しそうに話してくれた子の表情を思い出しながら結真くんに伝える。
だけど、結真くんは相変わらず自分の作業をしていて。無表情。邪魔しちゃ悪いかな。
口を閉ざして、ゆっくりと椋野さんの席に座る。
この状況で結真くんの真正面である自分の席に座る勇気は無かった。
「……そっちも」
「、え?」
ペラペラとページを捲った後、話は続いていたらしくぽつりと声を落とした結真くん。
ぼんやりしていた視界を結真くんの横顔へと向けるも、その横顔は作業へと向けられたままで。
「授業中聞かれたよ。矢野先生の高校時代の話」
そういってやっと目が合った。
表情からは結真くんが何を考えているのか分からなくて。ただ授業中のことを話しの流れで報告してくれただけなのかもしれない。