きっと、明日も君がすき。


余裕で間に合うから!と笑顔の麗ちゃんに私も笑顔を返した。




「…っていうかそんなにびっくりしなくても。志桜里だってこの前こけたって言って捻挫してたじゃん。私よりも重症だったし」

「はは。そーだね」

階段を下りていて後ろから押されて、捻挫だけではなく膝に痣まで貰ったのは少し前のことだ。

昼休みに食堂へと行く人混みの中だったから、足を踏み外したと隣を歩いていた麗ちゃんも思ったらしいけど。


私の背中には確かにぐっと力強く押された感覚があった。


落ちた痛みよりも、びっくりしたせいで心臓の音がすごかったのを覚えている。




他の人を巻き込まなくて良かった、という安心感も伴って。

私が治ったと思ってしばらくすれば今度は麗ちゃんが。

嫌がらせが麗ちゃんにまで、と思ってしまった。

私は足をけがしても、手さえケガをしなければ部活には問題ない。



だけど、麗ちゃんは体をケガしてしまったら大変だ。

今までレギュラーを目指して、きつそうなメニューをしているのを見てきた。




私のせいで最後の試合を台無しにするわけにはいかない。



「…無理しないでね」

ぽっこりと湿布を貼っているから膨れている麗ちゃんの足首を見ながら言えば、ぽんぽん、と頭を撫でられた。


…最近、神経質になりすぎてるのかな。怪我、ということに過剰に反応してしまう。



不審に思われなかったかな、と怖くなったけれど、麗ちゃんはそのまま何も言わずに自分の席の方へと行ってしまった。

……あと少し。夏の大会が終われば、夏休みになる。

一気に受験勉強や就職活動に向けて3年生は忙しくなるけれど、部活がなければ結真くんと一緒に帰れるかな。


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