マネキン少年
Blouse


サークルの先輩と日曜日ふたりででかけることになった!
ほんと菜々花のおかげだよ!ありがと!

「まじか。」


電車の中で思わず声に出しちゃってあわてて口元を手のひらでふさいだ。
きょろきょろと周りを見回してみたけれど、だれも気にしてなんていないみたい。

読んできた本の数も、見てきた映画の数も無駄にはならない。
経験があるフリをしてアドバイスしてみれば不思議とうまくいっちゃって、そしたらたくさん相談されるようになっちゃった。
現実は小説より奇なりなんて言うけれど、そうでもない気がする。
思い描いたシナリオ通りの報告が友達からくればパーフェクト。

なのにどうして、自分のことだけは不思議とうまくいかないんだろう。

みんなより先に「なんちゃって社会人」になった私はみんなにとってすこし大人に見えるらしくて、相談も大人になっていくものだから困ってしまう。

わたしなんてみんなのうちのだれよりも子供なのに。



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