マネキン少年

―――次は~

駅名が聞こえてスマホをバッグのポケットに滑り込ませる。
あーあ、働きたくないなあ。このまま電車乗り過ごして最寄り駅までリターンしたいなんて思ってもそういうわけにはいかないからヒールをすべらせて歩き出す。


「おはようございます。」

「おはよう、菜々香ちゃん。」

「相田さん、今日シフト入ってましたっけ。」

「河原さんが風邪らしくて、代理。」

「そーですか。」


大学生アルバイトの相田さんは、今年大学三回生でひとつ年上で、彼はなんていうか本当に、爽やかで、すべてが充実してますって感じで。
くしゃりとした少し癖毛気味の栗色の髪とお揃いの色をしたぱっちりした二重の瞳に、簡易的なスーツみたいな制服の黒のベストとネクタイがよく似合う。
噂ではクォーターか何からしい。純日本人といった顔立ちに髪色の私には、クォーター、確かにといった納得の綺麗な顔立ちをしているところが羨ましい。

…と、同時に少し苦手だ。

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