マネキン少年


「あれ、」 

「なに?」


光の加減で、色が変わる、深い、海の色。
眠そうな猫みたいな、釣り目がちなのに優しい瞳からその色が私をのぞくから思わず悪い人には思えないって思ってしまう。
あれ、それにしても、おかしいって思って言葉が口から落ちる。


「なんで、私の名前、菜々香って。」

「?それは俺が菜々香に送られたモノだから。」


お母さんになぜ?どうして?って聞くみたいに純粋な目でそう言うものだから思わずその言葉を信じてしまいそうになる。彼の顔がやけに私好みに整っている事も悪いんだろう。
その、女の子なら誰だってあまりにも自分好みの顔に迫られたら、つい何もかもがぬけてしまいそうになるでしょ。こんなにも、あまりにも危機的でおかしな状況でも。

予想なんてつくはずもない意味の分からない状況の中、頭を叩いて必死で思考をぐるぐると動かそうとしてみる。


「送られた…モノって?」

「そう。俺は菜々香をなりたい菜々香にするためのモノだよ。」




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